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不動産の相続登記を放置すると?

2012.12.01

はじめに、相続に関する手続きには、相続放棄や相続税の申告のように法律上の期間制限があるものと、預貯金の解約や不動産の相続登記のように期間制限のないものがあります。

 

期間制限のない手続きのうち、預貯金の解約は、相続人の協議がととのえば早期に処理されると思われますが、不動産の相続登記については、相続人に直接的な経済的利益が必ずしも発生するとは限らないため、放置されることがあります。

 

その理由を挙げると、「長男が実家を継ぐことに全員が同意しているから」、「兄弟に印鑑を頼むときにいろいろ気を遣うから」、「登記しなくても住めるから」、「完全に忘れとった」など様々です。

 

早めにした方が良さそうだと感じていても、一旦放置すると何かきっかけがない限り、モヤモヤしたまま数十年が経過していることも珍しくありません。

 

 この時間の経過によって、たとえ「長男が実家を継ぐことに全員が同意していた」といくら言っても、印鑑を押してくれるはずだった兄弟が重度の認知症になった場合や、兄弟の死亡により複数人の甥姪が相続人として登場した場合には、相続登記の手続きが実現できるか不安が生じます。

 

また、そもそも誰が相続するのか協議が調わないまま時間が経過している場合にも、話し合いのリーダーである相続人が死亡したり、各相続人が遠隔地に引越ししたり、相続人が増えたりと、不動産が塩漬けとなる原因を増加させることになります。(稀に時が解決してくれることもありますが…)

 

 この他、相続人間の問題以外にも、相続人のうちの一人に対する債権者が、法定相続を代位して登記し、差押登記を行った場合には、非常に面倒なことになります。

 

よって、協議が調った場合は登記まで完了させること、もし、相続登記を後回しにすべき理由がある場合であっても、後日のため、登記申請がいつでもできるための書類(戸籍・除籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書)の準備をすることをお勧めします。

 

<今回のレポート担当>

酒井司法書士事務所(福岡市中央区)

司法書士 酒井 謙次 先生

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酒井 謙次
酒井司法書士事務所 所長

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