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認知症になっても何とかなる?

2019.02.10

大ちゃん先生こと、高橋 大貴です。
家族信託などの認知症対策のご相談が増えてきました。

2018年厚生労働省発表の「平成29年簡易生命表」では、70歳の女性の方の「平均余命」「20.03歳」でした。これは、現在70歳の方は、90歳までお元気であることが「平均的」であり「ごく普通」であるということです。

【認知症対策って、なに?】

「認知症対策」とは何でしょうか?

もし万が一 認知症になって法的な判断能力を失ったとしても、「法定後見制度」を使わなくてもよいようにしておくこと。」
これが「認知症対策」だと、私は定義しています。

しかし、多くの方が「自分だけは何とかなる」「自分だけはきっと認知症にならない」となぜか思い込んでいます。残念ながら、きちんとした「認知症対策」をされる方は、まだまだ少ないと言わざるを得ません。

【本当に何とかなると思っていますか?】
例えば、こんな言葉をよく耳にしませんか?

「自分が認知症になったら、すぐに自宅を売って、そのお金で老人ホームに入れてほしい」

この願いは、不可能ではありませんが、大変に時間も費用もかかるということをご存知でしょうか?認知症になって法的な判断能力を失ってしまうと、その方が当事者となり不動産を売却することはできません。こんなよく聞くようなお話しも、現実には大変難しいのです。

【多くの方が何ともならなくなって、法定後見制度を利用する】

では、上記のように、認知症になって判断能力を失った方は、どうやって不動産を売却したらよいのでしょうか?

答えは、「法定後見人を立てて、家を売ることの許可を家庭裁判所にとる」となります。まず家庭裁判所に法定後見人を選任してほしいという申立てをします。その際に、病院に費用(10万円前後)を払って診断書をもらう必要があります。申立てから家庭裁判所が後見人を選任するまでの期間は4~5か月程度で、この間は家を売りたくても売ることはできません。

また、家庭裁判所がご家族を後見人に選ぶとは限りません。ご家族が後見人になれる割合は年々確実に減り続けて直近では全体の3割をきっており、7割強のケースでは司法書士や弁護士などの専門家が後見人に選任されています。家庭裁判所が専門家を後見人に選任した場合、家族は家族が後見人になれなかったという理由で、申立てを取り下げることはできません。

さらに、後見人が選任されたとしても、自宅を売却するには家庭裁判所の許可が必要です。後見人は不動産の売却が「施設に入所するため」などの正当な理由があることを家庭裁判所に申立て、家庭裁判所の許可が出てからでないと、自宅を売却することはできないのです。

そして最後に、家を売却できたとしても、後見人の業務はその方が亡くなるまで続きます。司法書士などの専門家が後見人に選任された場合は、当然無料ではありません。毎月、決まった金額の報酬(被後見人の財産額5000万円超の場合で月5~6万円目安)を、被後見人が亡くなり後見業務が終了するまで、支払い続けなければならないのです。また、自宅売却などの特別な業務を後見人に行ってもらった場合は、その内容に応じて別途 数十万円程度の報酬が発生します。

・・・以上の説明を聞いて、皆さんはまだ何とかなると思いますか?
「自分が認知症になったら、すぐに自宅を売って、そのお金で老人ホームに入れてほしい」

売却する不動産会社も、登記手続きしてくれる司法書士も、自宅を買う人も、老人ホームの人も、銀行も、あなたの時だけ、特別に「目をつぶってくれる」でしょうか?

答えはNOです。

【今と昔は違います】

例えば、飲酒運転。飲酒運転は、昔も今もやってはいけないことです。しかし、昔と今では、飲酒運転に対する「世の中の反応」が違うのは、皆さんご承知ではないかと思います。

これと、認知症になった場合のことも同じです。

「昔は、窓口で何も言われなかった」「営業の人が見ていないことにしてくれた」「支店長さんが聞かなかったふりをしてくれた」・・・。それは「昔」の話です。
代筆・代印、本人の代わりに家族が対応するなどの行為が、許されない世の中になっていることは、皆さんも日々お感じではないでしょうか?
「自分だけは大丈夫」「昔はなんとかなったから大丈夫」と思わずに、早め早めに対策をしておきましょう。

認知症対策には、「委任」「任意後見」「贈与」「家族信託」「法人なり」など、さまざまな種類があり、その方の資産状況やご家族の状況によって、使うべき認知症対策は異なります。

認知症対策は、認知症になって法的な判断能力を失うとできなくなります。

「いつかする、いつかはする」と言わずお元気な今のうちに、また、次の代のご家族と一緒に、専門家に相談していただければ幸いです。                    

                                           以上

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高橋 大貴
福岡相続サポートセンター
相続コーディネーター

年間120件以上の相続相談をお受けしていますが、大多数の方が「税金」のことばかりを気にされています。そういう方は、相続対策を騙る営業マンから対策にならない商品を購入していたり、税務署には全く通用しないやり方を素人知識で行っていたりすることがほとんどです。相続対策は、まずは家族関係図や財産目録などを作成し、常に「全体を見渡しながら」行わなければ効果はありません。こんなはずではなかった…とならないためにも、地道に一つずつ一つずつ解決していきましょう。