相続レポート

  1. HOME
  2. 相続レポート
  3. 賃貸物件が相続財産にある場合の遺産分割の問題?

賃貸物件が相続財産にある場合の遺産分割の問題?

2016.10.10

父が亡くなり相続が発生しました。相続人は兄と弟の2人。

財産は自宅、賃貸物件1棟、現金1,000万円程度でした。2人は話し合いをして、兄が父親と同居していましたので、兄が自宅と現金を取得します。弟は賃貸物件を受け取ることにしました。それがほぼ同じ評価と判断して分け方を決めました。

 ところでこの不動産の価格はどのように評価されるのでしょうか?

不動産評価は「相続税評価」で算出します。土地は路線価、建物は固定資産税評価です。よく時価(売却価格)の8割が相続税評価と言われています。

更に賃貸物件の場合は、土地は貸家建付地評価で1~2割減、建物は借家権割合を差し引く評価ですので3割減となります。この場合は入居率100%で評価しています。入居率が50%であれば差し引く割合も半分になります。そして「小規模宅地の評価減の特例」まで使えば、賃貸用土地の200㎡まで50%引くことができます。

では今回の賃貸物件の相続税評価が5,000万円とした場合に、実際の売却価格はどうでしょう。

賃貸物件の概要は以下の内容です。

■構造:木造2階建

■築年数:21年

■間取:ワンルームタイプ

■戸数:10戸

■平均家賃は:5万円

賃貸物件の売却価格を査定する場合は、収益還元法を利用するケースが一般的です。これは年間の家賃収入から逆算して売買価格を査定する方法です。不動産を投資商品と考えます。その時に重要になるのが利回りで、年間の家賃収入から売却価格を割って出すものが利回りといい、一般的に不動産の想定利回りは地域にもよりますが5%~10%の間が最近の不動産市場となっています。 

ではこの物件を査定してみます。

■年間集金額は600万円(5万円×10戸×12ヶ月)

→利回り 5%・・・1億2,000万円

→利回り10%・・・6,000万円

となります。この物件は利回りが5%違うだけで6,000万円もの差がでます。

では今回のケースで兄弟が同額で分けた場合、賃貸物件をもらった弟は本当に同額だったのでしょうか?

となんと6,000万円の差ができてしまいました。これでは同じ評価ではありませんね。

ということは、この遺産分割では同じ価格にする為には、賃貸物件を受け取った弟が、兄に相当の代償金を払わないといけません。または賃貸物件を共有しないといけなくなります。

このように賃貸物件が遺産分割の中にある場合の遺産分割は、相続税評価でなく分割する場合の評価も必要になります。この評価ができるのはイメージとして不動産鑑定士を考えそうですが、私達相続サポートセンターでも査定は可能です。もしよければ一度ご相談ください。

カテゴリーCATEGORY

伊瀬知 晃
福岡相続サポートセンター
代表取締役 会長

お客様の人生の締めくくりに、残された家族や子供達が争いなくすこやかに人生を過ごせるように、あなたの想いを伝える為のお手伝いをしたいと考えています。
悩んでいてもなかなか相談はしにくいことってありませんか。
そんな普段のなにげない不安や悩みの相談から、財産の見方、資産の有効活用の仕方、家族への遺し方の提案など、専門的な方々と協力し合いながらトータルでコーディネートいたします。